グリーン成長都市
北九州市はEsri製品を活用し、再生可能エネルギーを地図上に可視化し、グリーンで持続可能な都市へ
北九州市はEsri製品を活用し、再生可能エネルギーを地図上に可視化し、グリーンで持続可能な都市へ
日本列島の西端、九州に位置する北九州市は、その地理的条件からアジアの玄関口として発展してきました。北九州市は、鉄鋼、自動車部品、重工業など日本有数の製造拠点であり、92万人の市民の多くがそこで働いています。海、山、青い空など美しい自然を持ち、ユネスコ世界遺産に登録された近代化産業遺産群をはじめ、祭りや美術館などの文化活動も盛んです。
1900年代半ば、北九州市は日本経済に大きく貢献した「鉄鋼業のまち」として順調に発展しましたが、その結果、大気汚染や水質汚染が深刻な問題となりました。
1960年代には、生活環境や家族の健康被害に対処するために婦人会が結成されました。大学教授の指導の下、彼女たちは「青空が欲しい」というスローガンを掲げて活動し、企業や自治体に変化を求めました。
そして、産業界、自治体、教育機関、住民とのパートナーシップによって青い空を再び取り戻すことができ、現在の環境保護活動の枠組みが確立されました。
1960年代の北九州の空(左)と現在(右)。(写真提供:北九州市)
1960年代の北九州の海(左)と現在(右)。(写真提供:北九州市)
北九州市のリーダーたちは、過去の教訓を生かし、低炭素に向けた取り組みやエコタウン事業のような環境プロジェクトを取り入れ、これまでも数多くの実績と評価を受けています。
政府は、北九州市を2008年に「環境モデル都市」、2011年に「環境未来都市」、2018年に「SDGs未来都市」に認定した。また、グローバルでも1990年に「UNEPグローバル500賞」を、1992年には「国連地方自治体表彰」を受賞している。また、2018年には経済協力開発機構(OECD)が北九州市をアジアで唯一の「SDGs推進に向けた世界のモデル都市」として選定しました。
北九州市は、国内外との連携を通じて、世界の環境首都を目指しています。
北九州市は、「公害」の都市からグリーンで持続可能な都市への転換を図るため、2050年までに脱炭素社会の実現を目指しています。
再エネ100%電力をはじめとする低コストの脱炭素電力を市内全域に普及させるため、北九州市はEsriのGISソフトウェアを使用して、電力需要と市場価格を予測するモデルを作成し、最適な価格を算出し、持続可能なエネルギーマネジメントシステムを提供しています。
北九州市は、IoTセンサーから得られる気象データや人口データ、AI(人工知能)を利用し、エアコンの稼働や電気自動車の充電など、電気の消費が特に必要となる時間帯を予測しています。このモデルは、北九州市が低コストで太陽光発電を設置するために、最適な場所を算出することにも役立っています。
電力需要のピーク時に太陽光発電による再生可能エネルギーを利用(自家消費)し、電気料金を安価にするモデルは、これまでに類のない初の取り組みです。
PGISによる自治体別発電量予測
北九州市は、安定的に安価な再生可能エネルギー100%の電力を提供するため、ArcGIS Dashboards、 ArcGIS StoryMaps、 ArcGIS Hubを活用し、再生可能エネルギー100%北九州モデルを採用することで、産学官民との連携を図っています。
「北九州市グリーン成長戦略」には、2050年のゼロカーボンシティの実現に向けたエネルギーの脱炭素化とイノベーションの推進のための4つのアクションが盛り込まれています。
経済性の高い脱炭素エネルギーの安定供給と利活用による既存産業の脱炭素化・新産業の創出
イノベーション創出に向けた企業支援
都市整備や交通政策を通じた快適で脱炭素なまちづくり
今後拡大が見込まれるアジアを中心とする海外マーケットへの展開