袋川の洪水とその付け替え
青翔開智高等学校の「地理総合」フィールドワーク
鳥取市周辺の色別標高図
鳥取市は鳥取平野に位置しており、平野部と山地との距離が近く、市内を流れる河川の河口と上流との距離が短いことが分かる。
市内を流れる千代川(せんだいがわ)は南側から北側に流れ日本海にその水を注ぐ1級河川で千代川とその支川である袋川が今回のフィールドとなる。
図中の赤丸が今回、地理総合のフィールドワークに協力して頂いた青翔開智高校である。高校の北側には鳥取城があり、この城の城主らが領内を統治し、現在の鳥取市の基盤を作成した。
河川変更の図
第1期河川改修
1601年に関ヶ原の戦いで、東軍(徳川家康軍)に味方した池田長吉が鳥取城に入封した。池田長吉の入封後、鳥取城の拡張と河川改修を行う。このときに、袋川の流路を紫色から黄緑色へ変更した。
第2期河川改修
1617年に池田光政が姫路から鳥取城へ移封。鳥取城の石高では池田光政がもつ所領対して不足していたため、城下町を大きく拡大する必要があった。このときに、袋川の流路を黄緑色から青色破線に変更した。
第3期河川改修
明治期・大正期には、鳥取市の市街地が拡大していった。1912年、1918年、1923年に相次いで起こった洪水が発生したため、1923年の洪水をきっかけに、秋里(地図北西部)付近で大きく蛇行していた千代川(せんだいがわ)の河川改修を行った。その際に、新袋川が掘削され、現在の形となる
参考https://www.cgr.mlit.go.jp/tottori/tono/25shisanmeguri/pdf/fudoki.pdf
1918(大正7)年9月14日の 台風による被害
千代川の流域内の河川が増水し道路・橋梁を破壊する被害のほか、堤防が数ヶ所決壊し鳥取市内は浸水した。 また、この台風では鳥取市国府町美歎(みたに)地区にある美歎水源地の堰堤が決壊し、水源地下流にあった集落を飲み込み流失、大きな被害を出した。
参考https://www.mlit.go.jp/river/toukei_chousa/kasen/jiten/nihon_kawa/0709_sendai/0709_sendai_02.html
1897(明治30)年の地形図と現在の地形図の比較
1947(昭和22)年米軍航空写真と現在の地形図の比較
青翔開智高等学校
フィールドワークのスタート地点。
ここから約60分かけて現地を巡り、旧袋川の流路と袋川の洪水対策について学習する。
面影集落(旧流路)
1枚目
現地で掲示されている防災マップ。地域の方々の印象に残るように、ごみステーションに掲示されていることがわかる。
2枚目
面影(おもかげ)町2丁目の案内図。かなり色あせているが、中央部にある公園の西側に水路がみられる。旧流路を残す貴重な案内図である。
3枚目
同じく面影町2丁目の案内図。面影2丁目公園の北側にはかつての流路があるが、この案内図からは消されている。
4枚目
面影町2丁目の色別標高図。町内の南西(面影(一)のすぐ北側)が周囲より低くなっており、ここにかつての流路があったことがわかる。
大杙堰
ラバーダムをつくることで、新袋川の水が少なくなった時に、ラバーを膨らませて水を溜めることができる。水が溜まることで、写真よりも上流にある袋川との分岐点で袋川に水が流れ、市街地の水が瀬切れしないようにしている。
参考http://blog.livedoor.jp/gijutunohiroba/archives/51083128.html
ポンプ場
洪水時に排水するためのポンプ施設(2枚目の地図中の黒丸)。袋川の両岸の標高を比較すると、左岸側の標高の方が低く、洪水時には左岸側に水が流れることが予想されるため、ポンプ施設は左岸側にしかない。
スクリューポンプの仕組み https://www.youtube.com/watch?v=42hdwdoCFJM (3:50~)
調査経路
フィールドワーク事前指導
- フィールドワークに行く前に、調査する地域の概観説明を行った。
- 教室内のプロジェクターを使用し、本ストーリーマップを掲示した。
- 生徒ら自身がよく知る地域であるため、興味をもつ生徒が多い。
フィールドワークに関連した配布資料を見る生徒
- 各生徒には、フィールドワークでの要点をまとめたプリントを配布した。
- QRコードを使用することで、各生徒がストーリーマップなどを手元のタブレット端末を使用することで見る事ができた。
フィールドワーク中の様子①
- 住宅地のごみステーションに、ハザードマップが設置されている理由やその利点をを生徒らと考えた。
- 学校からこの地点までの道のりを配布資料に載せた地理院地図等を使用して、生徒らに記入させた。生徒によっては、容易に読図を行える生徒もいれば、読図が少し困難な生徒も見受けられた。
フィールドワーク中の様子②
- 袋川付近での説明を行っており、地理院地図の「自分でつくる色別標高図」を使用して、実際の土地の様子と地図を見比べ、河川が決壊した際に水がどの方向に流れていくかを考えた。