未利用魚たちの豊かな可能性

大分県立佐伯豊南高等学校 商業部

取組のコンセプト

私たちの住む大分県佐伯市は、城下街の風情や自然が生んだ絶景、海山の幸など、多くの観光資源を有する市です。雄大な自然を生かしたレジャーから、撮影におすすめの絶景スポット、佐伯ならではのご当地グルメも豊富です。

しかし、空家、荒廃した農地と林地などが増加し、少子化と高齢化も進行しています。さらに、スーパーや商業施設の減少、商店街の衰退なども年々進み、深刻な地域課題も山積しています。

こうした現状を踏まえ、私たち高校生が「未来の佐伯」のためにできることを考え、行動していくべきと考えました。地域の皆さんと協力しながら、地域における取組を実践しながら、地域活動の担い手となり、そのネットワークを拡げていくことが目標です。

未利用魚を活用した商品開発

皆さんは、「未利用魚」をご存じですか?「未利用魚」とは、水揚げされても、サイズなどの何かしらの原因で流通せず、ロスになってしまう魚です。この「未利用魚」を活用できれば、佐伯の海で穫れた資源を有効活用できると考えました。

「未利用魚」を活用した商品開発に協力していただける株式会社山忠様、漁村女性グループめばる様より、佐伯の「未利用魚」について教えていただき、「ホシザメ」と「ソウダガツオ」を活用することを決めました。

「ホシザメ」は、沿岸域で見られる小型のサメです。佐伯では、湯引きをして、酢味噌でほんの少し食べられている程度で、それ以外にはほとんど利用されていない魚です。しかし、サメは原料として「はんぺん」や「さつま揚げ」など、練り物にも使われおり、実は新鮮だと臭味の無い魚です。

未利用魚とされる「ホシザメ」

「ソウダガツオ」は、世界中の温帯・熱帯域の沿岸域を回遊している魚です。「マガツオ」や「スマガツオ」などと比べると小さいため、刺身用などの鮮魚としては一般流通しません。しかし、高級カツオ節とされる宗田節の原料となる魚で、旨みの強い魚ですが、佐伯ではほんの少しの水揚げで、積極的に利用する水産加工会社があまり無く、ほとんど利用されない魚です。

未利用魚とされる「ソウダガツオ」

オリジナルふりかけの開発

未利用魚といえる、新鮮だと臭味がない「ホシザメ」と旨みの強い「ソウダガツオ」を活用した商品として、「ふりかけ」の開発に挑戦することにしました。「ふりかけ」であれば、漁村女性グループめばる様の取扱商品にも同種類のアイテムがあります。また、株式会社山忠様の「ひじき」を混ぜ合わせることで、既存の「ふりかけ」との差別化もできます。

商品企画検討会議(令和6年12月10日)

漁村女性グループめばる様を訪問し、株式会社山忠様と3者で商品開発に向けた取組をスタートさせました。商品開発におけるスケージュール、商品仕様など、これから本格的にスタートする取り組みについて協議しました。

会議終了後の一枚

朝市の見学(令和7年2月15日)

商品開発に活用するホシザメとソウダガツオが水揚げされ、取引される朝市の見学に伺いました。早朝から多くの魚が取引されており、その光景に圧倒されました。

商品製造体験(令和7年2月15日)

朝市の見学後、漁村女性グループめばる様の調理場にて、商品製造体験をさせていただきました。調理場の説明を受けた後、実際にホシザメをさばき、焼き、ほぐし身を作り、乾燥させる一連の流れを体験させていただきました。その後、株式会社山忠様のひじきとソウキガツオの処理された粉末を混ぜ合わせ、味のバランスをみながら、試作品を完成させました。

商品ラベルの製作開始(令和7年2月17日)

試作品が完成し、商品ラベルの製作を行いました。まず最初に、商品のネーミングの検討を行い、”分かりやすく、一度聞いたら印象に残りやすい!”をコンセプトに決定しました。そのネーミングをもとにしながら、サメとカツオのイラストを描き、組み合わせました。いくつかパターンを作り、実際に完成した試作品に貼り、見た目も確認しながら検討していきました。

商品ラベルの候補

商品ラベルの完成(令和7年2月27日)

商品ラベルの候補を作成し、株式会社山忠様と漁村女性グループめばる様に提案しました。商品製造のプロの視点を入れていただき、商品ラベルが完成しました。

完成した商品ラベル

フライヤーの作成(令和7年3月15日)

開発商品の販売に向けた販売促進活動の1つとして、フライヤーの作成を行いました。商品ラベル同様に、インパクトがあり、取り組み内容が伝わるフライヤーにすることを意識して作成しました。その視点から、今回はイラストを手書きし、キャッチコピーを重視したフライヤーとし、「ふりかけ」という商品イメージから色をつけずに、あえて白黒で作成しました。

作成したフライヤー

商品の完成(令和7年3月25日)

商品製造に協力いただいた株式会社山忠様、漁村女性グループめばる様、商品販売にご協力をいただける観光まちづくり佐伯様と一緒に「未利用魚」を活用した「ふりかけ」の最終製造を行いました。味のバランスも満足いく仕上がりとなり、部員全員で作成を手掛けた商品ラベルを貼り、関係の皆様のサポートをいただき、私たちの思い形にすることができました。完成した「ふりかけ」は、さいき桜まつり(令和7年3月29日・30日:佐伯市内にて開催)にて販売を開始します。

完成品に商品ラベルを貼る様子

完成した商品

開発に協力いただいた皆様

メディアでの取組紹介(令和7年3月26日)

今回の取り組みテレビで紹介されました。以下のURL( https://www.youtube.com/watch?v=RwPyB7lxwHI )からご視聴できます。

また、新聞およびYahoo!ニュース( https://news.yahoo.co.jp/articles/046ee9df5c417bfc384e0231a28f8430f0e62e5b )にも掲載されました。

大分合同新聞朝刊(2025.03.28)

オリジナルふりかけ販売開始

令和7年3月29日・30日に、佐伯市内で実施された「さいき桜まつり」にて、開発に成功したオリジナル商品「ふかちゃん」「かつおくん」の販売を行いました。沢山のお客様に来店いただき、予定していた販売数を営業時間内に完売することができました。ご来店いただきましたお客様、ありがとうございました。

販売の様子

取組に関するアンケート開始

商品の販売開始に合わせ、取り組みに関するアンケートを開始しました。皆様からの貴重なご意見を伺いながら、商品のブラッシュアップや今後の取り組み等に活かしていきます。アンケートは、以下のURLから回答いただけます。皆さまのご協力をお願いいたします。

常設販売開始

令和7年4月1日より、株式会社山忠様の直売所にて、販売がスタートしました。皆様のご来店、お待ちしています。

株式会社山忠様直売所 販売ブース

令和7年4月5日より、さいき海の市場〇様(大分県佐伯市葛港3-21)、道の駅やよい様(大分県佐伯市弥生上小倉898-1)にて、販売がスタートしました。皆様のご来店、お待ちしています。

さいき海の市場〇様 販売ブース

道の駅やよい様 販売ブース

イベント出店情報

『ジゴロック2025』出店

令和7年4月19日(土)20日(日)の2日間、大分県大分市で実施された「ジゴロック2025」の市町村ブースにて、販売を行いました。観光まちづくり佐伯様のブースの一角をお借りし、商品販売および取組紹介をさせていただきました。ご来店いただきました皆様、ありがとうございました。

『ジゴロック2025』出店の様子

未利用魚とされる「ホシザメ」

未利用魚とされる「ソウダガツオ」

会議終了後の一枚

商品ラベルの候補

完成した商品ラベル

開発に協力いただいた皆様

大分合同新聞朝刊(2025.03.28)

さいき海の市場〇様 販売ブース

道の駅やよい様 販売ブース